とある訃報。

見かけたことはあるが直接の知り合いではないので名前は伏せる。おまけにここの読者層にはおそらく関係ないのだが。10年前、テクノに狂ってた頃好きだったVJ(今は何する人やら)が一人、亡くなったらしい。好きだった、というか、友達の友達の友達くらいの仲、かな。私個人は、あこがれて、でも、声をかけられなかった人の一人。そういう、あの頃の私を象徴する人物の一人が、亡くなったらしい。
詳しい話を求めて、いくつかのサイトを見て回った。懐かしい名前がたくさんあった。その懐かしい名前につられて、今はもう連絡先が判らなくなってしまった当時の友人を思い出す。一人は、ネット上で見つけて毎日バリバリやっているのを見られるが。他はもう、思い出の中だけでどうやって探したものか。ネットをさまよっていると、どこかですれ違っている気配もあるのだけど。名前の違うその人に、確信が持てないままやりすごしてしまったりもする。懐かしいような、寂しいような、奇妙なつながり。クリックひとつでつながってしまうのに、出会えているのを伝えられないのはちょっと、寂しいなと思ってみた。
リアルの私はひどく人見知りで、仲良くなるのにおそろしく時間のかかる人だ。出会った人は忘れないけれど、そこから一歩踏み出すのに勇気がいる。だからまあ、ここで寂しがっているのも結局は自分のせいなんだけど。その、「とある人」の訃報に懐かしい人たちがおそらく数年ぶりに顔を合わせているのを見て、いいな、と思った。うらやましいなの「いいな」じゃなくて。中途半端に近くにいたせいで、いろんな噂が流れてきたけれど、その色々を乗り越えてまた集まれる関係が、いいな、と思うのだった。色々あったのは確からしいけど。その色々は、本気で時代を作ろうとしていた熱意の結果の「色々」だったから、何年経ってもてらいなく集まれるのかなあ、なんて。
昔も今も、痛いくらい本気の人が好きだ。だから今はフェンス、なんだと思っているが。懐かしい人たちもまたどこかで本気で何かをやっているんだなあと思うと、嬉しくなるな。訃報のエントリとして書くにはちと不謹慎だが。