ドンキホーテ最新刊。

コーカミさんの2004年のまとめ(笑)彼のエッセイはリアルタイムで読むのが一番なのだけど、そのためにSPA!を毎号買うわけにもいかず立ち読みするヒマもなくて、年1冊出るこの総集編を毎年首を長くして待っているのでした。それとまあ、あの人は私より「速い」ので、1年遅れくらいで読むほうがしっくりするてのもあるかな。
コーカミさんの2004年はものそい多忙だったようです。や、あの人いつも忙しいんだけど。上演されたあれもこれも見たかったな。ミュージカル版「天使は瞳を閉じて」は木根さんも音楽で参加していて、木根さんの曲で涙した、なんて書かれていると見ておけばよかったとちょっと後悔。「リンダリンダ」は本気で見たかったよ! 山本耕史さん主演?だし。そういやこの人をナマで初めて見たのもコーカミさんの芝居だったなあ。(TVではご多分に漏れずひとつ屋根〜の三男だが)渋い脇役系の容姿のメンツが多い第三舞台内に於いてスタンダードなイケメンが混じるとこんな扱いになるのか、と思って見てたような。まあ、キャスト以外にも、毎年コーカミさんの芝居を見て、現場で散々笑ったり泣いたりした挙句3日くらいアタマをかき回された余韻に浸ってすっきりする、というのが通例であったので、去年3本もやってたにもかかわらず見に行けなかったというのはちょっと痛い。
エッセイの中でいくつか引っかかったものといえば、まず「添い寝屋」という商売でしょうか。一晩添い寝するだけ、というバイトなんだそうです。業者の方で男女区別して客を取ってるかどうかは事例が1個しか載ってないので不明ですが、ホテルの部屋で男が待っていて、そこに雇われた女が一人で行って、添い寝するだけ、という商売が成立するのに驚き。コーカミさんが聞いたというその体験談を読むとなんとなく納得なんですけどね。眠っている誰かの横で一晩眠らずにいられればそれだけで6万円のバイト代が入るというのも衝撃でした。うわー、やってみてー。いや、多分寝るけど。その昔、実はテレクラのサクラのバイトをしていたことがあって。つながった瞬間荒い息使いに出迎えられるのにやっぱり疲れてやめたんですが、面白い体験もいくつかありました。酔った勢いで電話したはいいものの、「俺は〜なんだよぉ」と同じことをずっと繰り返して寝ちゃった人とか。そんな風にバイトのいかがわしさ(笑)とは関係のない、思わずこぼれてしまったものに触れるのがちょっと面白かったなあ。絶対に、2度と出会うことがないだろうと思われる相手にこぼす「本音」みたいなのを聞けるのが楽しかった。こっちも2度と会う予定もないから気楽だったし。
コーカミさんのエッセイや作品では繰り返し「語られない言葉」について話題に上るのですが、ちょっと前まではその、容易に知人には語れない「語れらない言葉」はネットに落ちていくのかなあと思っていました。2ちゃんねるとか(笑)や、2ちゃんねるにもそういう幸福な時代もあったんですけど、やっぱりこう、テキストデータとしてある意味永遠に残ってしまうというのは、テレクラで誰とも判らない相手に吐き出すのとは意味合いが違うのかなあと。もっと言うと、「文字」でのコミュニケーションと「声」でのコミュニケーションはできることが違うなあというか。や、当たり前のことなんですけど。実感として、ネットだと「ただ吐き出す」ことは可能でも「ただ聞く」ことはとても難しいなあと、そんなことを思うのでした。肉声での、聞いた瞬間に消えてしまう言葉だから、何も言わずに受け止めることができる。文字だと、多くを語らずに受け止めただけの返事は、あとで見返してどうとでも解釈しなおしてしまうもんなあ。自分、しゃべるより書く方が得意だとずっと思ってたんですが、こうやって数年ネットの中にいて、文字コミュニケーションに溺れていると、文字だけで伝えることが出来る情報のあまりの少なさにがっくりすることもあるのでした。今、無性に長電話がしたい(笑)話題なんてなんでもいいから。
あとは、ビートルズ解散秘話とか。レコーディングだけをずっと続けていると、バンドってのは関係が煮詰まるんだそうです。ファンの間では周知の事実なのかもしれませんが、ジョンレノンが「君がタンバリンを間違えたおかげで、僕の人生はめちゃくちゃになったんだ―――そんな風に思えてくる」などと語っている、ようです。ライブでのもう取り返しのつかない状態でのミスはもう笑って許すしかないけど、スタジオで、何度でもやり直すことが出来る状態のミスほど許せないという、文章だけ見てるとなんか矛盾してるけど凄く判るわ、ということがあったらしい。(や、レコーディングでも演奏はナマモノなので、今やったあのテイクをそのままのテンションでもう一度て言われたら暴れたくなるんだろうな、と察することは出来ますが)やり直しがきかないつーことは、凄いプレッシャーではあるけれど、その分さっぱりとしたある種の諦めと、周囲の許容があるんだろうなあ。と、ここまで書いて、上に書いた「声」でのコミュニケーションの話とつながるようなつながらないような。せいぜい誰かの記憶にしか残らないからこそさっぱりとできること、って、あるよね。
とまあ、深夜のテンションに任せて書き散らしましたが、記録に残るのがちょっと怖い話も混ざっちゃったな(笑)さておき。この本オススメです。いやまあ、自分はコーカミファンになってもう20年近く経つので、彼の言うことが自分にはすんなり入ってくるからてのもありますけどね。
そうだ、コーカミさんが知らん間に結婚してました。いつ! などと詰め寄ってもしょうがないんですが、結婚したことで何か発見はあっただろうか。ただこう、「結婚はしておいたほうがいいよ」という言葉は彼には当てはまらないような気もします。彼の言葉に「濃密な関係」てのがありますが、フツーの人は結婚して初めて家族以外の異文化を持つ他人とその「濃密な関係」を持つからたくさんの発見や葛藤があるわけですが、劇団やってるならそんなことは日常なわけで、そうそう目新しいことはないのかもしれん、と。んでも、コーカミさんの育児には興味ありますー(笑)自分の子供ってのは恐ろしいです。自分が生きていくうえでしょうがなしに「置いてきたもの」を、ころんとピュアな形で目の前に出されちゃったりするので。毎日、人生をもう一度やり直している気分になります。と、ここまで書いて上の話題と微妙につながっ(ry そ、そろそろやめよう。